今泉今右衛門の詳しい説明と 買取

肥前有田の窯家で、焼物の三右衛門(柿右衛門、今右衛門、太郎右衛門)の一つ。
赤絵屋十六軒の一つ。
江戸期は鍋島藩の御用赤絵師であった。
江戸後期以降、廃藩置県と共に鍋島藩窯の御用赤絵屋制度が消滅。
しかし鍋島の技法と伝統は赤絵町の今泉今右衛門家によって復興・継承される。

10代今泉今右衛門(1847年-1927年、本名今泉藤太)
9代今泉今右衛門が1873年に没し、同年26歳で10代今泉今右衛門を襲名した。
従来の鍋島焼は下絵付け・本焼きの工程を大川内で、上絵付けの工程を赤絵町で分担して行っていた。
今泉家は鍋島藩窯の御用赤絵屋を専業としてきた事が伝えられているが、明治維新の廃藩置県により鍋島藩の庇護を失う。
過当競争の新しい時世で焼物にたずさわって生き残っていくためには赤絵付けだけではなく、素地から求めて生産する一貫した必要性を迫られた。
1873(明治6)年に10代今泉今右衛門を襲名し、本窯を築いて盛期鍋島や古伊万里の再興に取り組んだ。
当初は窯焼きの経験が少ない事も重なって失敗の連続だったが、真摯な態度で仕事に打ち込む今右衛門への関心が次第に高まり始め、大正以降には食器を中心とした多くの注文が寄せられるようになった。

11代今泉今右衛門(1873年-1948年、本名今泉熊一)
1927年に11代襲名した。
従来の鍋島の主力は皿類であったが、それだけでなく、近代生活に対応した器種も制作した。
10代から引き継いだ古典の名品復興に主眼を置きながら、 新しい時代に即した近代今右衛門の新様式を模索し続けた。
歴代今右衛門の中でも、最も名工の誉れが高いと言われており、絵付けにおいては右に並ぶ者はいないと言われたことで知られている。
また、作品の質を向上、最盛期の色鍋島や古伊万里の復元にも努め、優れた作品を残した。
皇室御用品などの制作にも携わり、色鍋島復興の基礎を作った。
盛期鍋島の献上品にさえ匹敵する高い水準の名品を生み出し、11代の無銘作品は元禄時代(1688~1704)の作品に間違えられる事もある。
そのため鍋島作品の美観を損ねる染付銘に抵抗を感じた11代は、高台内の目立たない場所に釘彫りで「今右衛門」という隠し銘を入れた。
別の伝承によると10代や11代の色鍋島があまりにも巧妙で真に迫る物であった為、後世に盛期鍋島と区別が付かずに混入してしまう恐れを指摘され、目印となる釘彫りの隠し銘を入れたとも言われている。

12代今泉今右衛門(1897年-1975年、本名今泉平兵衛)
11代の子として生まれる。襲名年不明。
祖父と父のもとで家業に打ち込み、近代色鍋島の復興に励んだ。
また、現代的デザインを取り入れた作品を制作したことでも知られている。
1952年、無形文化財の指定を受ける。
1971年、12代の時に設立された色鍋島技術保存会が国の重要無形文化財「色鍋島」の保持者として認定を受けた。
他、紫綬褒章や勲四等旭日小綬章を受章した。
また、今右衛門古陶磁参考館を設立。
1975年、死去。
それにより重要無形文化財「色鍋島」の指定が解除された。

13代今泉今右衛門(1926年-2001年、本名今泉善詔)
佐賀県生まれ。12代の長男。
若い頃から創作的な色鍋島の制作に取り組み、現代の角度からの色鍋島を作ろうとした。
東京美術学校工芸科を卒業。
卒業後は日展や佐賀県展、日本伝統工芸展等で多数の賞を受賞。
1975年、12代没後に13代今泉今右衛門を襲名した。
改めて「色鍋島今右衛門技術保存会」を結成し、重要無形文化財の総合指定を受ける。
さらに、個人でも活躍をみせ、重要無形文化財保持者に認定された。
酸化ウランを呈色剤とする「薄墨」という技法を開発し、優れた意匠力によって、従来の更紗文様や有職文様、唐花文様などの古典の文様を現代的に取り上げた。
また、写生に基づく草花文様を動的に表現するなど、新たな意匠構成を試みた。

14代今泉今右衛門(1962年-2011年、本名今泉雅登)
佐賀県生まれ。13代の次男。
1985年、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科(金工専攻)を卒業した。
卒業後は、インテリア販売会社に就職する。
1988年に、京都の陶芸家である鈴木治に師事し、1990年には有田に戻り、13代今泉今右衛門に師事した。
色鍋島の技術の研鑽に打ち込み、佐賀県美術展知事賞、一水会陶芸部展一水会賞、西部工芸展鹿児島放送局賞など多くの賞を受賞した。
さらには、日本伝統工芸展で工芸会会長賞を受賞、のち、日本工芸会正会員となる。
2002年には、13代没後、14代今泉今右衛門を襲名した。
色鍋島今右衛門技術保存会会長や財団法人今右衛門古陶磁美術館理事長、日本工芸会理事に就任し、活躍した。
その後は、日本伝統工芸展で東京都知事賞や、MOA岡田茂吉賞優秀賞を受賞する。
2009年には、紫綬褒章を受章。
2014年には、重要無形文化財「色絵磁器」の保持者に認定された。
色鍋島の伝統をベースとし、江戸時代から伝わる白抜き文様をだす染付技法「墨はじき」を発展させ、独自の作風を確立した。

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