ナミカワ七宝
ナミカワ七宝 (なみかわしっぽう )
東京で活動した無線七宝を得意とする濤川惣助。京都を中心に活躍し、有線七宝にこだわり続けた並河靖之。この二人は、共に競い合うライバル関係にあり「二人のナミカワ」と評された。
濤川 惣助(1847年-1910年)は、日本の七宝家。
東京を中心にして活躍、無線七宝による絵画的表現を特色とし、京都で活躍した並河靖之と共に二人のナミカワと並び評された。
作品の図柄には日本画的なものが多く、柔らかな無線七宝の表現と調和するためか乳白色等の淡い色彩の地のものが多い。また宮内省から多くの作品の注文を受けており、明治天皇から外国要人へ送られた贈答品の花瓶には十六八重表菊紋がデザインされている。
濤川が手がけた代表作には、宮内省から製作を依頼された赤坂迎賓館(当時は東宮御所)の花鳥の間の壁面を飾る『七宝花鳥図三十額』(渡辺省亭原画)がある。
なお、依頼にあたっては並河靖之も候補に挙がったが、無線七宝の作品の表現が花鳥の間の雰囲気と合うという理由で濤川が選考されている。
2009年には『七宝花鳥図三十額』も含めた赤坂迎賓館が国宝に指定されている。
もうひとつの代表作が1893年のシカゴ万博に出展して高い評価を得た『七宝富嶽図額』(東京国立博物館蔵)で、2011年に重要文化財に指定されている。
並河 靖之(1845年-1927年)は、日本の七宝家。
明治期の日本を代表する七宝家の一人で、京都を中心に活躍。
近代七宝の原点である有線七宝にこだわり続けてこれを極め、東京で活動した無線七宝を得意とするライバル・濤川惣助と共に、二人のナミカワと評された。
明治時代、輸出用美術工芸として人気を博した七宝。
並河靖之は、その中でも繊細な有線七宝により頂点を極めた七宝家である。
日本で使われた七宝の釉薬(ゆうやく)は、明治の初めまでは濁りのある不透明なものが一般的で、色数も限られていた。
その中、並河は研究を重ね、透明釉薬を含めた様々な色の釉薬を開発し、微妙な色彩の表現やグラデーションを可能にした。
さらに、並河作品の大きな特徴といえば、「黒色透明釉薬」。
透明感のある艶やかな黒い地(背景)は、色彩豊かな花鳥をより一層際立たせるものとしている。
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