葛飾北斎

かつしかほくさい

1760年（宝暦10）～1849年（嘉永2） 江戸中・後期の浮世絵師。
幕府用達鏡師の子として江戸本所に生まれる。90回を越える転居など奇行が多く、逸話も多い。改号の癖もあり、春朗、宗理、可候、北斎、画狂人など30以上の 号 を用いた。 勝川春章 の門に入り、化政期以降に美人画や役者絵が退廃に進む中、奇抜な発想や大胆な構図で名所絵や風景画・花鳥画 のジャンルに清新な 画境 を開拓して 浮世絵 版画 を中興した。浮世絵の世界では終生画業の開発と変革に努め、和漢洋の各種画法に強い関心を示した。風景版画に富岳三十六景、千絵の海などのほか、富岳百景、北斎漫画などの絵本類もあり、その画業は国際的にも高く評価され日本の著名な作家の浮世絵師として知られています。門下には、異色の作家の柳川重信、昇亭北寿らがいる。90歳で死去するまで、多くの作品を残した。

葛飾北斎は、日本でも有名な浮世絵師であるが、1999年にはアメリカの雑誌ライフ、でこの1000年でもっとも偉大な業績を残した100人として、日本人でただ一人選ばれるなど、海外での評価も高い。代表作として国内外に人気が高いのが、冨嶽三十六景、で、今までの日本画には無い大胆な構図でさまざまな富士山を描いた作品。特に、海外ではビッグウェイブ、と呼ばれている、神奈川沖浪裏、赤く染まる富士の山肌を描いた、崖風快晴、稲妻が富士山の裾野に光る、山下白雨、などの評価が高く有名である。また、葛飾北斎は海外の芸術家にも多大なる影響を与えており、作曲家のドビュッシーは、冨嶽三十六景の神奈川沖浪裏、からインスピレーションを受け交響曲、海、を作曲したとされる。また、工芸作家のエミール・ガレは北斎漫画の鯉のモチーフを取り入れた 花入 を作った。

このほか浮世絵では諸国の名瀑を題材とした8図の連作、諸国瀧廻り、橋のデザインを生かすため大胆な構図を用いた、諸国名橋奇覧、などのシリーズが知られている。浮世絵のイメージが強い北斎であるが、70歳代の4年間に浮世絵作品のほとんどが集約されており、70歳代以前までは読み本 挿絵 や絵手本、80代の最晩年は 肉筆 画を残している。