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浮世絵 （ うきよえ ）

「浮世絵」には肉筆画のものと 木版画 のものがあります。肉筆 画は一点ものなので作品数も限られ高価でした。木版画は同じ絵柄のものを多く刷ることができ安価で江戸時代の一般大衆もたやすく手に入れることができました。また、一般的に、明治時代の木版画は赤色や青色の部分が濃く表現されており、 江戸時代の木版画は、まったりした淡い色合いのものが多く見られます。

大胆な構図とはっきりした 図柄 が印象的で、影の表現を持たないことが特徴です。浮世絵師の葛飾北斎などは、世界中のアーティストに影響を与えた 画家 として、海外でも高く評価されています。代表作品「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は、「グレートウェーブ」と呼ばれ世界中にファンも多く、有名です。肉筆画や 水墨画 など 日本画 の 技法 だけでなく、西洋画の遠近法なども取り入れた集大成ともいえる作品が、日本の浮世絵なのです。流派にこだわらず、様々な技法が取り入れられています。

浮世絵が流行した江戸時代には、素晴らしい絵師たちが大勢生まれました。現代の美術展などのように額に入れて遠目に眺めるものではなく手にとって眺め 愛玩 されるものでした。彼らが描いた浮世絵は、当時、海外に輸出される 陶磁器 の包み紙に利用されたことで、ゴッホやモネといった、西洋の画家たちの手に渡り、のちに西洋画の大家と呼ばれる作家たちに大きな影響を与えました。画家のみならず、作曲家や 彫刻家、ティファニーの 調度品 など、西洋美術に多大な影響を与えたと言われています。

また、幽霊、花鳥画、動物画 などテーマも幅広いことも特徴です。草双紙や絵巻物、また瓦版（新聞）の 挿絵 の役割も果たしていました。絵暦と呼ばれるカレンダーの制作も行われ、様々な工夫を凝らしたものが作られたり玩具絵のように切り抜いて遊ぶものもありました。その美しさと手に入れやすさが江戸から国元への土産に、喜ばれ、全国各地に広まっていきました。