古染付

一般に中国の明末・天啓年間あるいは1621年～1644年頃に作られ、江西・景徳鎮の民窯にて焼かれた 染付 の 陶磁器 のことを古染付と言い、呉須 手とは別の焼き物です。中国美術の古陶器には色々な陶磁器や 陶器 がありますが、青磁や白磁、また官窯の様な 上手 の作品ばかりではなく庶民の陶磁器の代表が古染付です。その味わい深い古染付、茶人に親しまれることによって日本では 珍品 の 工芸品 として珍重され、古い時代 の古陶器なのでほとんどの遺品は日本にのみ残っています。

最初は、中国渡りの染付との意味で染付南京と呼ばれていましたが、後江戸後期に 交易 で伝わった 煎茶道具 の清朝染付に対して、初期に 唐物 として渡った 古渡り の染付で古染付と呼ばれました。中国美術のなかでも陶磁器は数多くあり、萬暦帝の崩御により御器焼造は中止となり御器廠は事実上の閉鎖を迎え、代わりにこのような背景の中、景徳鎮民窯によっていわゆる古染付が生み出されていった。古染付には大明天啓年製、天啓年製、あるいは天啓年造、といった款記の 花押 が底裏に書かれている 逸品 や、いろいろな年号 銘 が書かれて、乾隆年製の官窯ほど 名品 ではありませんが、民窯であったからこそ陶工の意匠を素直に表した染付を生み出し、上手 の、 伝世品 から数物で出来の悪い アタリ の多い 下手物 まで多くの陶磁器があります。

特徴としては、特に口縁部は 虫喰 と称され、虫に食われた跡と見立て鑑賞の対象とした。古染付特有の特徴であることも知られる。また土青による濃青な発色をうまく使い、自由奔放な筆致で明末の文人画を例にとった 山水画 や 花鳥画 、羅漢・達磨など描いている。交易でもたらされた 唐物 や古渡りのなかでも器形は円形の大皿や小皿が多くみられます。